記録を残す  /  2026.10.07

閉店したスープカレー店の記録 ― 消えた店を、消さずに残す

閉店した店の情報は、ネットから驚くほど早く消える。カレーライフの店舗データベースに「閉店」「休業中」として残っている22軒を、年表と一覧にして1か所にまとめた記録。系譜に名を残した店、2025〜2026年に閉じた店、地方の店、時期不詳の店。

スープカレーの店は、よく閉まる。札幌の人なら、「あそこ、閉まったらしいよ」という会話を年に何度かはしていると思う。そして閉まった店の情報は、ネットからも驚くほど早く消える。食べログの表示が「閉店」に変わり、公式サイトが消え、Instagramの更新が止まる。数年たつと、店の名前で検索しても何も出てこなくなる。

カレーライフでは、閉店した店の店舗ページを消さずに残している。理由は単純で、「あの店は何の店だったのか」を調べる人がいるからだ。実際、このサイトに検索で来る人の中には、閉店した店の名前で探してくる人が毎月いる。この記事は、いま店舗データベースに「閉店」「休業中」として残っている店を、1か所にまとめた記録だ。

数えてみると、閉店が21軒、休業中が1軒ある。これはデータベースを作り始めてから拾えた分だけで、札幌で過去30年に閉じたスープカレー店の全部ではない。それでも、ここに並べておけば、店の名前がネットから消え切る前に、何の店だったかを引ける。

年表:いつ、どの店が閉じたか

閉店したスープカレー店の年表。2017年スリランカ狂我国、2023年harappi、2025年スパイシースポット・アジトハチャム・カレー気分・カオスヘブン札幌店、2026年Popeye・梵北24条店・極哩旭川中央店の順に縦に並ぶ図。
閉店の時期が資料で確認できた店だけを年表にした。時期が分からない店は下の一覧に「時期不詳」として載せている。

1. 系譜に名前を残した店

閉店しても、その店で修業した人の店が続いている。そういう店が2軒ある。どちらもスープカレー系譜図に出てくる。

スリランカ狂我国(中央区・1984年開業)。辛さを100番台まで選べる番号の仕組みは、この店が始まりだと言われている。閉店と再開を繰り返し、2013年に「激辛のスリ狂」として再開したあと、2017年に閉じた。最後の場所は南5条東2丁目で、いまはそこに孫弟子筋にあたるHoodDogがある。弟子の店は村上カレー店プルプル、gopのアナグラなど、いまも営業している。

Voyage(ヴォイジュ)(北区・1996年開業)。閉店というより「名前が変わった」店だ。2000年に店を移して屋号をPicante(ピカンティ)に改めた。Voyageという店名はもう札幌のどこにもないが、スープはPicanteで続いている。

2. 2025年から2026年に閉じた店

ここ2年で閉店が確認できた店は7軒ある。情報の出どころは、店の公式SNS、食べログの表示、地域のニュースサイトで、カレーライフが直接確かめたものではない。

スパイシースポット(中央区南13条西14丁目)は2025年1月31日に閉店した。西線14条駅の近くで、全メニューに15種の野菜が入り、鰹出汁を効かせたやさしいスープを17段階と少しの辛さで出していた。カフェとしても使える店だった。

アジトハチャム(西区発寒)は2025年3月ごろに閉店した。発寒のハツキタ商店街で2017年に開き、「魂のスープカレー」を掲げていた。道産丸鶏と香味野菜を8時間以上煮出したスープに魚介出汁を合わせ、バーボンの並ぶバーを併設していた。

カレー気分(清田区北野)は2025年3月31日に閉店した。すっきりと酸味の効いたスープと自家製ピクルスで知られた店だ。

カオスヘブン(中央区南5条東2丁目)の札幌店は2025年4月1日に閉店した。旭川発の店で、道産牛乳とクリームチーズを使った濃厚な「ミルクスタイル」が看板。食べログの百名店(2024年)にも選ばれていた。本店は旭川で営業を続けている。

Popeye(ポパイ)(北区北18条)は2023年9月に開いたばかりの店だったが、2026年3月に地域のニュースサイトが閉店を伝えた。野菜が主役のスープカレーで、レギュラー、タイ風グリーン、海老ビスク、トマトの4種から選べた。跡地にはインド・ネパール料理の店が入っている。

咖哩屋 梵 北24条店(北区北23条西7丁目)は2026年7月に閉店が確認された。二十四軒発のルーカレー専門店の支店で、牛・豚・鶏のメインごとに専用のソースを用意するという、市内でも珍しい作り込みをしていた。ベーグルやドーナツも扱う、カフェに近い空気の店だった。

相場王のスープカレー 極哩 旭川中央店(旭川市2条通)は2026年8月31日に閉店した。札幌本店を持つ極哩の旭川店で、「新感覚のスープカレー」を掲げていた。札幌本店は営業している。

3. 休業中の店

スープカレー クロスロード(CROSS ROAD)(中央区南6条西11丁目)は、2026年3月に開いたばかりの新店だった。ところが2026年6月の時点で営業しておらず、電話もつながらないという報告があった。公式の発表はない。閉店と決めつける材料がないので、カレーライフでは「休業中」として残している。再開か閉店か、分かった時点でページを直す。

実はこの店、検索でカレーライフに来る人が毎月いる。「クロスロード 閉店」で調べて、ここにたどり着く。営業しているかどうか分からない店の情報は、営業している店の情報より、探している人が多いのかもしれない。

4. 地方の店

札幌以外の街では、スープカレーの店が1軒閉じると、その街の選択肢がごっそり減る。

スパイスカレー ベンジャミン(帯広市西21条)。店主が自分で配合する12〜13種のスパイスで、小麦粉を使わないカレーを出していた。ポークビンダルーやバターエビカレーなど3種から選ぶ形で、十勝では貴重なスパイスカレーの担い手だった。

warung gembira(ワルングンビラ)(室蘭市中島町)。室蘭では数少ないスープカレーの店で、移転後は昼がスープカレー、夜が焼鳥居酒屋という二毛作だった。辛さは30番まで無料、最大50番まで。アジアの雑貨が並ぶ店内だった。

SAMA 釧路店(釧路市芦野)。複数のスープから組み立てるカスタム型スープカレーSAMAの釧路店で、道東の太平洋側でSAMAの味が食べられる店だった。SAMAは札幌・旭川などで営業している。

カレー工房インド ガンガ店(旭川市旭神)。ルーツは1973年の喫茶店にさかのぼる旭川カレーの老舗で、スープカレーが生まれる前から続く「カリ」が看板だった。「カリ」と「カレー」をメニューで分けて書く流儀の店だった。

5. 札幌の街の店(時期不詳)

閉店したことは分かっているが、いつ閉じたかが資料で確かめられない店。データベースに登録したのは2020年から2024年の間なので、その頃までは営業していた店だ。

店 場所 どんな店だったか
スープカレーいちどー 白石区南郷通7丁目 チキンレッグと豚角煮を両方載せた「山賊スープカレー」が名物。ボリューム重視の店
北カフェ 中央区南8条西14丁目 昭和2年築の古民家で、靴を脱いで座敷に上がる店。豚骨・鶏ガラのスープを4種から選び、フルーツタルトも名物だった
四つ葉 豊平区月寒中央通10丁目 トマトをたっぷり使い焦がしバジルを浮かべるさらさらスープ。深夜24時まで開いていた
マハラジャ 中央区南6条西(すすきの) 2018年開店。タイのゲーンマッサマンを下敷きにした独自路線で、深夜4時まで開いていた
3104知床スープカレー 豊平区平岸2条8丁目 平岸ゴールデン街のカウンター5席。知床斜里の豚「サチク麦王」の骨で取る100%豚出汁に羅臼昆布と鮭節を合わせていた
SHO-RIN 麻生店 北区麻生町3丁目 すすきの本店で知られるSHO-RINの支店。本店は南5条西3丁目で営業している
ロケットカレー 北24条店 北区北24条西4丁目 2008年に「スープカレーグーニーズ」として開き、2020年にロケットカレーへ改称。出前に対応する店で、中央・豊平・二十四軒などの系列は営業している
Spice Curry harappi 中央区南1条西13丁目 彩りのよい盛り付けのスパイスカレー専門店。2023年5月には閉店していた。店主はのちに円山でTABALSAを開いている

なぜ消さないのか

閉店した店のページを残す理由は、3つある。

1つ目は、調べる人がいること。「あの店どうなった」は、営業している店の営業時間と同じくらい、人が知りたい情報だ。

2つ目は、系譜が切れないこと。狂我国が閉じても、弟子の店は続いている。閉店した店を消すと、いまの店がどこから来たのかが分からなくなる。

3つ目は、閉店の情報そのものが、このサイトにしかないことが多いこと。大手のまとめ記事は営業している店しか載せない。閉じた店の「何の店だったか」は、誰かが書き残さないと消える。

この一覧は、新しく閉店が分かるたびに書き足していく。閉店や再開の情報をご存じの方は、curry.link宛にお知らせいただきたい。


本記事の閉店時期は、各店の公式SNS・食べログの表示・地域ニュースサイト(号外NET など)の公開情報による。カレーライフが現地で確かめたものではない。時期不詳の店は、閉店の事実のみ確認でき、閉店日を特定できなかったもの。閉店した店の掲載順・分類に順位の意味はない。

この記事は公開されている資料をもとに構成しています。裏付けが取れていない部分は「〜と言われる」と書き分けています。 事実の誤りにお気づきの場合はご連絡ください。

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